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ミュージカル「この世界の片隅に」新潟公演初日

2024.6.22

©こうの史代/コアミックス・東宝 製作:東宝

 

ミュージカル「この世界の片隅に」 新潟公演一日目終了。本やテレビアニメで物語を知っていたものの、「ミュージカル向きのストーリーじゃないよね」と思っていた私が、完全に打ちのめされました!

 

まずは、感動的なストーリー展開。物語は過去と現在が交錯しながら、登場人物の内面の変化を繊細に描き出していました。戦時下のリアリティと温かな人間関係、そして登場人物の感情表現が見事に融合し、観客を引き込んでいきました。

 

キャストの表現 昆 夏美さんを初め、実力派揃いのキャストとは知っていましたが、シームレスな歌とセリフで登場人物の心情を鮮やかに表現していました。昆さんが、本で読んだすずのイメージを100%再現していて流石です!

音楽の魅力 アンジェラ・アキさんが渾身を込めて作った音楽は、その完成度の高さが際立ちました。今風のメロディーと昭和を感じさせる旋律が交差し、ストーリーに深みを加えていました。メインの旋律が場面に応じて微妙に変化することで、物語の感情の波を豊かに表現していました。隠れていた生バンドの構成も絶妙でした。

妥協しない舞台セット 「ここまでやるの?」と思うくらい、時間と労力を掛けて舞台を設営していましたが、「そうかー!」と納得。地方公演では、舞台を簡略化することも多いのですが、勾配のついた「八百屋舞台」に、「盆(周り舞台)」と凝っていて、「オペラか?」と思ったほど。精巧なプロジェクションマッピングによる背景は、動きがあり、臨場感抜群でした!

メッセージやテーマの深さ 「この世界の片隅に」は、戦時下の人々の生活の中で見出す愛と希望の尊さを訴える作品でした。戦争の影にある日常の美しさや人間の強さ、そして命の尊さが、観客に深く響くメッセージとして表現されていました。今も世界で戦争に明け暮れている地域に思いをはせながら、私たち一人一人の生き方を考えさせてくれる感動のステージでした。

終わりに、ブロードウェイのアダプテーションではなく、日本発のストーリーがここまで成熟した作品になっていることに感動しました。生演奏と共に溢れ出る情熱と観客の共感が、特別な空間を生み出していました。すず、周作、リン、哲はダブルキャスト。明日の公演も楽しみですね。ぜひ、この作品が持つ普遍的なメッセージを共有できるように、明日も新潟県民会館でお待ちしています!

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